2023/09/25
こんにちは。
まつもと歯科院長 松本卓也です。
今月も新しいインプラント歯科論文を抄読いたしましたので掲載いたします。
凸型または凹型のアバットメント形状の差によるインプラント周囲組織の臨床的及びX 線的変化: 3 年間のランダム化比較試験 Title:Clinical and radiographic peri- implant tissue changes for implants restored with convex or concave abutment shapes: A 3- year randomized controlled trial Author:Theofilos Koutouzis, Abdulaziz Ali, Mohammed AlRubaie Journal:Clin Oral Impl Res. 2023;34:675–683.
PURPOSE
凹面形状のアバットメントの使用は、インプラント埋入後 1 年においてインプラント周囲の軟組織の厚みが増加し 、インプラント周囲組織の経時的な安定性に有益である可能性が報告されている (Hosseini et al., 2020; Zuiderveld et al., 2018)。
インプラント埋入後に、凸型または凹型のアバットメント形状によってインプラント周囲の組織が3 年間にわたりどのように変化するか評価した。
MATERIALS AND METHODSRESULTS
この研究は、前向き、無作為化、対照、並行群間比較試験として設計された。 28 人の上顎小臼歯1 本の欠損歯の治療患者を対象とした。
チタンアバットメント (Atlantis Abutment、DentsplySirona Implants) 設計は頬側縁下 1 mm、隣接面縁下 0.75 mm 舌側縁下0.5 mm。患者はランダムにCONVEXまたはCONCAVEグループに割り当てた。
術前計画に基づき、直径3.5mm、長さ9 mmから14 mmまでの歯科用インプラント(Ankylos、DentsplySirona Implants)をガイド(AnkylosExpertEase、DentsplySirona Implants)を用い埋入した。アバットメントを装着し、プロビを可着した。 インプラント埋入の 3 か月後に最終的補綴が装着された。
インプラント周囲粘膜マージン位置 (MP) は、インプラント埋入およびプロビ装着(IP) の直後に、4 つの部位 (近心、遠心、頬側、舌側) でステントを使用して記録された。 補綴装着時(PR)、インプラント埋入1 年後(FU-1)、インプラント埋入3 年後(FU-3)も同様に行った。 ステントは、暫定修復から永久修復に移行するときに修正が必要な場合に備えて、少なくとも 2 本の隣接する歯を含むように設計された。角化歯肉幅 (KM)、プロービング深さ(PD)、出血(BoP)、プラークの付着部位を調べた。X 線検査は、骨縁下のインプラント埋入ポジション (SP) 、および辺縁骨レベル (MBL) を近遠心で評価した。
RESULTS
・28人が2つの異なるグループに割り当てされた(女性18人、男性10人、平均年齢56.1 歳、範囲34~71 歳)。CONVEXグループの患者1人は埋入前に脱落した。 CONCAVE グループの 1 人の患者では、インプラントがインテグレートせず、インプラント埋入 2 か月後に除去された。
・プラーク、BoP、PD ≤ 3 mm、4-5 mm、および ≥6 mmは、補綴装着時、FU-1、および FU-3 では統計的に有意な差はなかった。頬側 MP に関しては、IP-FU-1間 で減少が観察され、FU-1-FU-3 間で増加が観察されました。 FU-3 ではグループ間に統
計的に有意な差なし。 近心隣接面ではIP-FU-3 の間隔で両方のグループで MP の全体的な平均増加が観察され、統計的に有意な差 (CONCAVEgroup1.69 ± 0.85 mmに対しCONVEXgroup0.63 ± 1.43 mm,p =) .04)が認められた。
・平均MBL変化について、いずれの間隔においても、2つのグループ間でMBL変化に統計的に有意な差はなかった。 PR (0.92 ± 0.43 mm vs. 1.22 ± 0.55 mm、p = .02)、FU-1(0.66 ± 0.39 mmvs.1.16 ± 0.55 mm, p = .01) およびFU-3(0.62 ± 0.38 mmvs.1.24 ± 0.59 mm、p = .01)で、CONVEXグループとCONCAVEグループの間でSPに統計的に有意な差があった。
IP-FU-1とIP-FU-3間においてCONVEXグループとCONCAVEグループの間に有意差が認められた(−0.66 ± 0.46 mmに対し−0.24 ± 0.25 mm、p = .007および − 0.69 ± 0.48 mmに対し−0.16 ± 0.22 mm、p = .005).
CONCLUSION
この研究の範囲内では、アバットメントのマクロ設計が経時的にインプラント周囲頬側粘膜のマージンの位置に影響を与えるという仮説を裏付けることができなかった。
・「並行群間比較試験」
患者さん100人を実薬群50人とプラセボ群50人に無作為化し、その後実薬による治療効果とプラセボによる治療効果を、同時に検討する試験。
・「クロスオーバー比較試験」
並行群間比較試験とは逆に、同じ患者さんに実薬もプラセボも両方投与して、両方の効果を検討する試験。
例えば、実薬を4週投与して実薬による効果をまず検討し、その後プラセボを4週投与してプラセボによる効果を検討する。
この逆の順序の群も設け、プラセボを4週投与し、その後に実薬を4週投与する群も設ける。
結果で言うと本研究においては、インプラントのアバットメントの形状による歯肉の位置の変化は有意差なかったようです。
今後も豊中市の皆様の歯や口腔内の健康維持に寄与出来ればと思います。
こういう大変な時期ですが私も歯科医師として今できることを精一杯させて頂こうと
思っております。
では皆さま今日も一日頑張っていきましょう。
歯医者として豊中市の地域医療に歯科治療という形で微力ながら
貢献できますよう頑張ってまいりますので今後ともよろしくお願いいたします!
これからも
「大阪の豊中・岡町でよりレベルの高い歯科治療を提供出来る歯医者となるように」
努力したいと思います。
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