人工歯根は骨や年齢で諦めるべき?できない人の条件と検査基準|まつもと歯科|豊中市の歯医者

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人工歯根は骨や年齢で諦めるべき?できない人の条件と検査基準

人工歯根は骨や年齢で諦めるべき?できない人の条件と検査基準

「骨が薄いから難しい」と言われた方へ


奥歯の抜歯を勧められた際に、「顎の骨が少ないので人工歯根(インプラント)は難しいかもしれません」と告げられ、戸惑ったままの方は少なくありません。大阪でも、同じ悩みを抱えてご相談にみえる方が多くいらっしゃいます。ただ、骨の量や年齢だけで結論が決まるわけではなく、立体的な検査を経て見立てが変わる場合もあります。この記事では、適応外とされやすい条件、骨量を補う考え方、診査・診断の流れを整理しました。思い込みで諦める前に、ご自身の状態を客観的に把握することが出発点になります。


この記事の要点まとめ


  • 骨量・年齢・全身状態は複数要素を総合し、CT等の精密検査で見立てが変わる場合がある
  • 骨造成や再生療法など骨量を補う選択肢があり、期間・費用は事前確認が望ましい
  • 将来のケアや通院しやすさも見据え、幅広い治療法を提示できる相談先選びが重要


人工歯根(インプラント)ができない人とされる主な条件と身体的基準

人工歯根(インプラント)ができない人とされる主な条件と身体的基準

人工歯根が難しいと判断される背景には、骨の状態、全身の健康状態、生活習慣という三つの軸があります。どれか一つ当てはまれば即座に不可、という単純な話ではなく、複数の要素を重ね合わせながら総合的に検討していきます。


顎の骨の厚みや高さが不足している場合の判断基準


人工歯根は顎の骨に支えられて機能します。そのため、埋入する部位に一定の骨の幅と高さが求められます。歯周病が進むと歯を支える骨は失われていき、抜歯後にそのまま放置した場合、噛む刺激が伝わらなくなった骨がさらに痩せていくと考えられています2


部位による事情の違いも大きいところです。上顎の奥歯では上顎洞(副鼻腔)が真上にあり、骨の高さが数ミリ程度しか残っていないケースも珍しくありません。下顎の奥歯であれば、下歯槽神経の走行位置が制約となります。「骨が少ない」という一言でも、原因も対処の方向性も部位ごとに異なるわけです。


こうした判断を平面のレントゲンだけで下すには限界があります。厚み(頬舌方向の幅)は2次元画像に写り込みません。実際に立体的な撮影を行ってみると、想定より条件が良かった、というケースもあります。


シニア世代の年齢制限と全身疾患(糖尿病・骨粗鬆症薬など)の影響


人工歯根治療に、上限年齢の明確な線引きはありません。70代、80代で治療を受けられる方もいらっしゃいます。重視されるのは暦の上の年齢ではなく、外科処置に耐えうる全身状態と、治療後のケアを続けていける環境かどうかです。


注意が必要なのは、血糖コントロールが不安定な糖尿病でしょう。高血糖の状態が続くと感染への抵抗力や創傷の治りに影響が及ぶとされており1、HbA1cの数値を目安に、内科の主治医と連携しながら判断していきます。


もう一つ、シニア世代で見落とされやすいのが骨粗鬆症の治療薬(ビスホスホネート製剤やデノスマブなど)の服用です。これらは骨代謝に作用するため、抜歯や埋入といった顎の骨に関わる処置に際して顎骨壊死という有害事象が報告されています。服用期間、投与経路(内服か注射か)、他の疾患の有無などによってリスクの評価は変わり、主治医への照会や休薬の検討が必要になる場合もあります。お薬手帳のご持参をお願いしている理由が、まさにここにあります。


このほか、チタンに対する金属アレルギーが確認されている方には、ジルコニア製の人工歯根といった選択肢を検討することもあります。妊娠中の方については、投薬や撮影の観点から時期をずらす判断が一般的です。


喫煙習慣や重度の歯周病が治療計画に与える制限


喫煙は歯ぐきの血流を低下させ、骨と人工歯根が結合する過程や術後の治癒に影響を及ぼすと考えられています。喫煙が歯周組織に与える影響は公的機関でも解説されており1、治療前後の禁煙をお願いすることが少なくありません。


お口全体に重度の歯周病が残っている状態での埋入にも、慎重な判断が求められます。歯周病菌が人工歯根の周囲に定着すると、インプラント周囲炎という状態を招く可能性があるためです。まずは歯周基本治療で口腔内の環境を整え、炎症が落ち着いてから次の段階へ——という順序を踏みます。遠回りに見えるこの事前治療こそ、長期的な状態を左右する土台になります。


「骨が足りない・高齢」でも諦めないための精密検査と治療の選択肢


他院で難しいと言われた方が、詳しい検査を経て別の見立てになる。これは実際に起こり得ることです。判断の精度は、どこまで情報を集められるかに左右されます。


歯科用CTによる骨の立体構造と厚みの詳細把握


平面のレントゲンで分かるのは骨の高さの目安まで。幅や密度、神経・上顎洞との立体的な位置関係までは読み取れません。ここで役割を果たすのが歯科用CTです。当院では歯科用CTやセファロ、口腔内スキャナー(iTero)などを導入し、目では確認できない情報を細かく取得したうえで診断を行っています。


CTデータからは、埋入予定部位の骨幅がミリ単位で計測でき、骨の硬さの傾向、下歯槽神経管までの距離、上顎洞底の形態などが立体的に見えてきます。その情報をもとに、どの角度で、どの太さ・長さの人工歯根なら成立し得るかをシミュレーションしていきます。「骨が薄い」という一言の中身を数値へ分解していく作業が、適応判断の出発点です。


当院ではさらに、手術ナビゲーションシステムのX Guideを用いた埋入計画にも取り組んでいます。計画と実際の処置のズレを抑える工夫は、骨の余裕が少ない症例ほど意味を持つと考えています。


骨造成術(GBR・サイナスリフト)や再生療法を活用した骨量確保


骨量が足りない場合には、不足分を補う骨造成という考え方があります。代表的なものは次の通りです。


  • GBR(骨誘導再生法):骨補填材と保護膜を用いて、幅や高さが足りない部分の骨形成を促す方法。
  • サイナスリフト/ソケットリフト:上顎の奥歯で上顎洞底の粘膜を持ち上げ、その下に骨補填材を入れて高さを確保する手技。持ち上げる量や進入方向によって使い分けます。

いずれも自費診療で、部位や範囲によって費用は変わります。目安としては数万円台から二十万円台前後の追加費用となることが多く、骨が成熟するまでにおおむね4〜6ヶ月程度の待機期間が加わるため、全体の治療期間は延びます。この期間と費用の見通しは、着手前にぜひご確認いただきたい項目です。


また、歯周病で骨が失われている場合、抜歯を回避できないか再生療法を検討する道もあります。当院ではリグロスとマイクロスコープ、骨補填材を併用した自費の精密再生療法を行っており、ご自身の歯を残せる可能性を先に探るという選択肢も含めてご提案しています2


将来のセルフケアや通院を見据えた治療計画の立案


シニア世代の治療計画で重視したいのは、10年後、20年後の視点です。手指の動きや通院のしやすさは、年齢とともに変わっていきます。清掃しにくい形態の上部構造を選ぶと、ご自身でのケアが難しくなることもあります1


だからこそ、本数を必要最小限に抑える、清掃器具が届きやすい形状にする、将来的に取り外して調整できる設計にするなど、手入れのしやすさを織り込んだ計画が求められます。ご家族の介助が必要になる場面も想定し、あらかじめご相談いただくと、後々の負担が軽くなりやすいものです。人工歯根は入れて終わりではなく、支え続ける仕組みを一緒に設計するもの。そうお考えいただければと思います。


治療適応を客観的に判断するための歯科医院選びと相談の流れ


同じお口の状態でも、診査に使える情報量や術者の対応範囲によって、提示される選択肢は変わってきます。だからこそ、判断の根拠をどう示してもらえるか——その視点で相談先を選ぶことが大切です。


骨の状態や全身状態を多角的に診査できる設備体制の確認


骨量が少ないケースでは、平面のレントゲンだけで結論を出すのは難しくなります。院内に歯科用CTがあり、その場で撮影から確認まで完結できるかどうかは、確かめておきたいポイントの一つでしょう。


あわせて、マイクロスコープによる精密な処置、歯周病治療の体制、外科処置に適した衛生管理環境が整っているかも判断材料になります。当院では外科処置の際、より高い水準の衛生管理を行える完全個室の特診室をご案内しており、半個室の診療スペースとあわせてプライバシーにも配慮しています。


無理に勧めず幅広い選択肢を提示してくれるカウンセリング


人工歯根だけが答えではありません。部位や本数、全身状態によっては、ブリッジや入れ歯のほうが生活に馴染む場合もあります。逆に、骨造成を伴うことで人工歯根が現実的な選択肢に入ってくることもある。


望ましいのは、それぞれの方法について利点と留意点、費用、期間、そしてメンテナンスの負担まで並べて説明してもらえることです。骨造成を伴うなら治療期間は長くなり、追加費用も発生します。その見通しを事前に共有してもらえるかどうかが、納得して進めるための分かれ目になります。当院では治療内容や進め方、費用・期間についてアニメーションや口腔内カメラを用いてご説明し、ご理解いただいたうえで診療を進めています。


治療可否を正しく見極めるための初診・相談のステップ


実際の流れは、おおむね次のように進みます。


1. 問診・お薬手帳の確認:糖尿病や骨粗鬆症治療薬など、服用中のお薬と既往歴を共有します1。ここが判断の土台です。

2. 口腔内診査と歯周組織検査:歯周病の進行度、残っている歯の状態を確認します2

3. 歯科用CT撮影:骨の幅・高さ・密度、神経や上顎洞との位置関係を立体的に把握します。

4. 診査結果の説明と治療計画の提示:骨造成の要否、期間、費用、代替案を含めて共有します。必要に応じて内科主治医への照会も行います。

5. 口腔内環境の整備:歯周治療や禁煙のご相談など、下準備を進めます。


当院は診査・診断・治療計画に妥協しない歯科医療を掲げ、その場しのぎではなく将来を見据えた計画づくりを大切にしています。大阪・豊中市周辺で「骨が少ないと言われたけれど、本当に難しいのか確かめたい」とお考えの方は、まずご自身の状態を数値と画像で把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。


よくある質問


Q1. 90歳でも人工歯根の治療は受けられますか?

A. 年齢そのもので一律に線引きされるわけではありません。外科処置に耐えうる全身状態か、服用中のお薬に留意点はないか、術後のケアと通院を継続できる環境か——こうした点を総合的に評価します。ご家族の協力体制も含めて、無理のない範囲での計画を一緒に考えていきます。


Q2. 顎の骨の成長は何歳までですか?

A. 個人差はありますが、顎の骨の成長は一般的に18歳前後まで続くとされています。成長期に埋入すると、周囲の歯だけが移動して噛み合わせに段差が生じる可能性があるため、成長の終了を確認してから検討するのが基本的な考え方です。


Q3. 70歳以上でも治療を受けている方はいますか?

A. はい、70代・80代で治療を受けられる方はいらっしゃいます。ただし全身疾患の管理状況や骨の状態によって判断は分かれます。まずは検査を受けたうえで、可否と代替案の両方をご確認いただくとよいでしょう。


Q4. 骨粗鬆症の薬を飲んでいますが、相談だけでも可能ですか?

A. もちろん可能です。お薬の種類・投与経路・服用期間によってリスクの評価が変わりますので、お薬手帳をご持参ください。必要に応じて処方元の医師に照会し、休薬の要否も含めて慎重に検討します。


Q5. 骨造成を行うと、治療期間はどのくらい延びますか?

A. 部位や補う量によりますが、骨が成熟するまでにおおむね4〜6ヶ月程度の待機期間が加わることが多いです。骨造成は自費診療となり追加費用も発生しますので、着手前に期間と費用の見通しをご確認ください。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth


松本 卓也

歯科医師


まつもと歯科

院長

松本 卓也

▶ 監修者プロフィール

経歴
2004年 大阪大学歯学部 卒業
2004年 医療法人かい歯科、かい矯正歯科インプラントセンター 勤務
2007年 大阪大学歯学部大学院 歯科生体材料学講座 入学
2009年 医療法人かい歯科 退職
2009年 大阪デンタルクリニック、医療法人たんぽぽ会 非常勤 勤務
2009年 まつもと歯科 開院
2011年 大阪大学歯学部大学院 歯科生体材料学講座 卒業
2013年 マウスピース型矯正治療法(インビザライン矯正システム)認定医
2015年 国際口腔インプラント学会認定医 取得
2019年 Club GP 理事
2021年 日本歯科審美学会認定医 取得
2023年 国際口腔インプラント学会指導医 取得
2024年 日本口腔インプラント学会専修医 取得
2026年 日本口腔インプラント学会専門医 取得
2026年 歯科医師臨床研修指導歯科医
資格・所属学会
日本口腔インプラント学会
国際口腔インプラント学会
日本歯科審美学会
日本矯正歯科学会
東京SJCD
皆川インプラントアカデミー
保田矯正塾
Club GP
OJ(Osseointegration Study Club of Japan)
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